ピル/LEF
緊急避妊ピル外来
- 婦人科で使うホルモン剤を扱う外来です。OC/LEP/HRTと緊急避妊用ピルのご相談にのっております。 治療用に使われる低用量、超低用量ピルのことをLEPといいます。避妊用のピルをOCといいます。更年期の治療で使うホルモン治療をHRTといいます。 当院では患者様のご相談に乗りこれらの治療のメリット・デメリットをお伝えし、希望される方への対応をしております。
OC避妊用ピル
(私費)
OCとは、卵巣で作られるホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲスチン(黄体ホルモン)の合剤のことです。月経の初日〜5日以内に服用していただくので通常なら排卵期からしか分泌されないプロゲスチンを月経初期から投与することで卵胞の発育や排卵がおさえられ、避妊効果を発揮します
メリット
OCは避妊を目的としたものですがその他にも様々なメリットがあります。個人差はありますが 月経痛・過多月経の軽減、月経不順の改善、月経前症候群(PMS)の軽減、ニキビの改善・子宮内膜症の予防と改善・子宮体癌・卵巣癌の発症予防 などです。
デメリット
使い始めの特に1−2ヶ月は頭痛、吐き気、乳房の張り、不正出血などがみられることがあります。一番重大な副作用に 静脈血栓症(VTE)*があります。血栓症は突然の足のむくみ、呼吸困難などで発症します。現在のピルは低用量、超低容量となっているため、以前より稀な合併症となっており、数十万人に1人くらいに発症する副作用です。ただし、喫煙、肥満(特にBMI30以上)、年齢(40歳以上)合併症のある方は血栓症になるリスクが高いと言われていますので注意が必要です。
*海外の報告では、VTEの発症頻度は、ピル非服用者1万人当たり1~5人、一方低用量ピル服用者は3~9人に上昇します。しかし、ピルを服用していなくても妊娠中は5~20人、分娩後12週間では40~65人と報告されており(日本産科婦人科学会資料より転載)、非妊娠女性でも喫煙者は5〜25人の発症頻度が報告されており、実はピル服用中よりも妊娠中・出産後、又は非妊娠女性の喫煙の方がVTEリスクはの高いです。もちろんピルを用いない女性よりは発症率はあがりますからこれをどのように受けとめるかは個人個人の考え方、ライフスタイル、月経に伴う症状によるでしょう。
いずれにしろこれらのリスクを回避するために処方し始めの3ヶ月は1ヶ月ごとに診察させていただきます。また半年に一回の血液検査と婦人科検診をおこないます。市健診、ドックや健康診断などを個別に受けていただいて結果をお持ちいただいても結構です。
ご準備している薬剤
当院では、男性ホルモン作用が少ない第3世代1相性の低用量ピル「マーベロン」のジェネリック薬である「ファボワール錠」を準備しています。不正出血等が気になる方には第2世代3相性の低用量ピル「ラベルフィーユ」のほうが向いているかもしれません。その場合は院外処方となります。
ご注意
*性感染症(クラミジア、コンジローマ、HIV等)を予防するものではありません。感染防止にはコンドームの使用が必要です。 *下痢、または嘔吐が有る場合は薬の成分が吸収されにくくなり、妊娠する可能性が高くなります。医師にご相談ください。 *月経が2周期続けて来ない場合は妊娠の可能性もあります。医師の診察を受けてください。
次の方はOCやLEPが服用できない場合があります。医師にご相談ください
*不正出血のある方 * 妊娠中ままたは妊娠している可能性のある方 *授乳中の方*喫煙されている方*激しい頭痛や片頭痛 *目のかすみ、失神、激しい頭痛、胸の痛み、突然の息切れ、むくみ、ふくらはぎの痛み * 舌のもつれなどのある方 *現在、今までに入院や手術などを要する大きな病気にかかったことのある方* *流産、死産を繰り返したことのある方 *妊娠中毒症、妊娠中に妊娠高血圧症候群と言われたことのある方 *今後4週間以内に手術の予定のある方、過去2週間に大きな手術を受けた方 *ご家族に血栓症にかかったことのある方
緊急避妊用ピル
(私費)
黄体ホルモンを短期間服薬することで避妊に失敗した可能性があるときに使用します。 排卵を遅らせるか抑制しますが、低用量ピルのように99%以上の効果が期待できるものではありません。主に2つの方法があります。
ⅰ.Yazpe(ヤッペ)法
プラノバールなどの中用量ピルを性交後72時間以内に2錠内服、12時間後にさらに2錠内服します。副作用として吐き気がある場合があり、吐き気止めも同時に内服します。妊娠阻止率(服薬しなければ妊娠した人を妊娠させない率)は60%程度です。 費用は3300円程度です。
ⅱ.レボノルゲストレル
黄体ホルモンだけのピルです。1回の内服でよく、吐き気も少なく妊娠阻止率(服薬しなければ妊娠した人を妊娠させない率)は85%程度、避妊率で考えると98%となります。当院では安全性が高いのでこちらをお勧めしています。 費用は7700円程度です。
LEP低用量ピル
(保険適応)
OCとほぼ同じ成分ですが黄体ホルモンの組み合わせなどがやや違います。メリット・デメリット・ご注意などはOCのページを参照ください 当院では保険適応のLEPとしてヤーズフレックス、フリウエルLDを準備しております。
HRTホルモン補充療法
(保険適応)
OCとほぼ同じ成分ですが黄体ホルモンの組み合わせなどがやや違います。エストロゲンの低下によって怒る様々な不調を改善し、逆にエストロゲンでおこる副作用を軽減するために黄体ホルモンを併用している治療です。
どんな治療でしょうか?
エストロゲンやエストロゲン+プロゲステロンを内服または塗布します。症状や年齢に合わせての処方となります。使い方もその方の
ライフ・スタイルや症状、既往症に合わせたものになります。
メリット
ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗などの血管運動系の症状の改善 動悸や知覚異常など自律神経系の不調の改善閉経後骨 粗しょう症の予防萎縮性腟炎や性交痛などの改善その他、悪玉コレステロールの低下や不安やイライラの改善の効果がなども期待されます。
デメリット
乳がんの問題が言われています。欧米のデータではやや乳がんがふえるとの結果ですが日本人女性を対象とした調査では乳がん患者(3,434人) と乳がんでない女性(2,427人)の 2つのグループに分けてアンケート 調査が行われ。、その結果、乳がん患者グループで のHRT経験者は164人 (5%)で、 他方では253人(10.7%)でした。 すなわち、HRT経験者の方が乳が ん発症リスクが低いという結果が 出ています。
HRTが処方できない場合
ホルモン治療により悪化する可能性がある病気をもった人には、原則的にホルモン補充療法は行えません。
例えば乳がん、子宮体部がんの方、また血栓症の治療薬を処方されている方、脳卒中やその他の動脈硬化病変の既往が有る方には実施
できません。子宮筋腫、腺筋症の既往、肥満や糖尿病、高血圧の有る方に関してはケースバイケースでの対応が必要となります。